Live Report ライブレポート

タンゴの節句2011

小倉2デイズ

今回、トリオ・ロス・ファンダンゴスとケンジ&リリアナのタンゴの節句はついに10周年を迎えた。2002年から毎年春に繰り返してきたタンゴショウ。今回は初めての小倉芸術劇場小劇場2デイズに挑む!

4/30、一年ぶりのタンゴの節句の感覚を取り戻し、確かめ、そして新しい味わいを楽しむように迎える初日。ケンジさんはわざわざ東京から持参したギターを抱えて入場を待つお客さんの前で歌い、入場後のお客さんの前で前座よろしく歌う。まったりと、客席をリラックスさせ温める感じ。そしていよいよ本番開始。前日のリハーサルで出されたアイデアをひとつひとつ形にしながら。新曲をおろすときのような新鮮さと特有のスリリングさがあり、二度とない芝居の初日の魅力。しかしそれでも、一年前のタンゴの節句の経験の上に、この初日がある。いや、過去9回の積み重ねの上に、あるんだ、ナア。そして初日終演後、楽屋で早速修正を加え、翌日に備える。

5/1、小倉二日目。この日は予想を上回るお客さんが入り、椅子を急遽出さねばならないほどの大入り満員。ありがたい、ありがたい。開演前の客席のざわつきグアイも初日とは違う。リラックスしながら、楽しみにみんな待ってくれている感じ。初日を経て加えられた工夫をさっそく生かしてショウがつくりあげられていく。前日よりもさらにスムーズになり、安定感を増す二日目。この変化のスピードも自分たちでも驚くほど。新しいサプライズイベントも加わって、客席も大盛り上がり。いやースゴカッタ。

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<写真:JUNBOW>

ケンジさんからは「10周年なんだから特別なことやんなくちゃ」と尻を叩かれた。でも結局とりあえず新曲4曲と、新しく考えたイベント以外はやらないことにした。すみません、アイデア貧困で。でもいっつも、そう。これからの夢、なんて訊かれた日にゃ三人でいつも「さあ…ないですねえ、お客さんと一緒に今を楽しむだけ」と答えてきたもんなあ。今のワレワレの演奏が、実は「タンゴの節句」10周年であり、結成13年目の「今」そのもの。

新しいレパートリーが加わった分、古いレパートリーはプログラムから外れていく。結果的に、それがプログラム全体にさらに明るさを加えることになった。みんなが大なり小なり揺さぶられているこの震災の情況の中で迎えるタンゴの節句10周年に、もしかするとそれは、ふさわしいことだったのかもしれない。タンゴは、どれだけ明るくても、すでに悲しみや涙を抱えているのだから。

さあ、広島へ。            (文責・谷本仰)

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<写真:JUNBOW>

広島

5/3、昨年に続き、今回も広島カフェテアトロ・アビエルトでのタンゴの節句ライブ。この会場では、PA音響機材を使わない、完全生音、ノーマイクで、やる。圧倒的な音量はない。しかし、マイクを通したのではそがれてしまう響きそのものや、各楽器から発せられるダイレクトな音や丁々発止に目の前で展開される様々な音のやりとりのスピード感・ダイナミクスが、ある。芝居小屋でもあるこの会場でやるタンゴの魅力。

会場に入ると、この日のライブの手伝いに入ってくれた広島市立大学の学生さんたちによるすばらしい舞台美術がわれわれを迎えてくれた。ブエノスアイレスのボカ地区の大きな絵。これをバックに、この日は演奏。単なる風景画ではなく、そこに働く人間の姿も描きこまれていて、嬉しくなった。

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演奏ステージと客席の距離もさながら、ダンサーとお客さんの距離も近い。タンゴの節句ツアー2011の4会場の中で、もっとも至近距離でお客さんはダンスを感じることになる。ライブ開始後間もなく、お客さんの一人が足元に置いていた紙袋を下げたのが見えた。蹴られる!と思ったのだろう。それほどに。

ピアノが一音につき最大3本の弦をハンマーでぶったたきながら音を出せば、アコーディオンはその場にある空気を楽器の中に吸い込み、吐き出しながらリードを吹き鳴らす。そしてヴァイオリンは前に出たり、後ろに引っ込んだりしながら、他の二つの楽器の響きとバランスをとりながら、歌う。「生」だからこその動きがあって、面白かった。

名物店主の中山さんは今年もほんとにうれしそうにぼくらを迎えてくれた。そして開演前にグリーンカレーを、そして終演後にサラダ、チキン、ピザなどうまいものを次々に出してくれた。いやーほんっとにたのしかった、と言いながら、ぼくらを見送ってくれた。こちらこそ、しあわせです。本当にありがとうございました。

今回も広島で制作を引き受けてくれた大槻オサムさんは、この日照明も担当し、いいあかりをバンドに、ダンサーに、そして客席にあててくれた。モッコウバラに囲まれて、まるでこの世のモノとは思えない彼に見送られて、広島を後にした。ありがとうございました、広島!

さあて、次は、福岡2デイズ!!

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