村山マーシー雅史さん(マーシ&マギ) 後編

タンゴの節句2023に参加してくださるダンサー「マーシー&マギ」の村山マーシー雅史さんが語るトリオ・ロス・ファンダンゴス、後編です。どうぞお読みください。前編はコチラ

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「すんまへん。マーシーマギさんはミロンガをやっておますやろか?」

こんな嘘くさい関西弁だったかは定かではないが、私たちのミロンガで演奏させてほしいとの電話だった。

当時、すでに東京のミロンガシーンを席巻していたあのトリオ・ロス・ファンダンゴスが、タンゴダンサーとしてもミロンガのオーガナイザーとしてもまだまだ未熟だった私たちに白羽の矢を立ててくれたことが、たまらなく嬉しかった。

それ以来、2016年から毎年東京ツアーの際は必ず私たちのミロンガで演奏してくださるようになった。ファンダンゴスさんと一度途切れかけたご縁は、その度に強固なものとなっていった。

リリアナ先生はファンダンゴスさんの演奏を祈りだと書かれていた。全く同感で、毎年レパートリーを増やし日本中のミロンゲーロ、ミロンゲーラを熱狂の渦に巻き込むあの魂の演奏に救われた人はたくさんいると思う。

私もそのひとりだ。

ファンダンゴスの演奏は「いのち」そのものだと思うことがある。もっというと、いのち「を」懸けているのではなく、いのち「に」懸けている。
人間のいのちに。懸けてくれている。それほどタンゴを愛する人々を心から信じてくれている。

だから私たちは御三方の演奏で踊るほどに、救われた気持ちにさせてもらえるのだ。

今年もタンゴの節句が近づいてきた。

まだまだ世の中が混沌としていた昨年2022年3月、日本タンゴ界の重鎮ケンジ&リリアナのケンジ先生の「マーシーマギも一緒に九州行く?」の一言で同行させてもらえることになった。

ケンジ&リリアナ先生とトリオ・ロス・ファンダンゴスさんが20年大切に育ててこられたタンゴライブショー「タンゴの節句」への出演。

この経験はこれまでの人生の中で一二を争うほどの宝物になり私たちはタンゴの道を歩んでいく覚悟を新たにすることができた。

昨年の「ミニタンゴの節句2022」のことは、マギさんが詳しく書いてくれてるのでぜひ読んでほしい。

御三方と同じ時、同じ場所にいれることの幸運と感謝を噛み締めて、これからもファンダンゴスの音楽を浴び、踊り続けたい。

ありがとう。トリオ・ロス・ファンダンゴス。
これからもよろしくお願いいたしマーシー。

おわり

村山雅史マーシーさん(マーシー&マギ)前編

”What friends say about the band”「友人たちがこの楽団について言うことにゃ」、ダンサー村山雅史マーシーさんの登場!ついに2023年GWに本格再始動するタンゴの節句をケンジ&リリアナと共にもりあげる素敵なダンスカップル「マーシー&マギ」のマーシーさんから見たトリオ・ロス・ファンダンゴス前編!どうぞお読みください。

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「マーシー&マギさんは、トリオ・ロス・ファンダンゴスさんの演奏で踊ってください。」

2014年の梅雨に入ったころ、奈良タンゴ祭主催、北村さんからのメールには確かにそう書かれていた。

トリオ・ロス・ファンダンゴス。

お会いしたことない。
調べたらちょうどツアー中でこちらにきているというからご挨拶に伺おう。

そうして訪れた横浜エアジンというライブハウス。
窓際の奥、すみっこの方にスタンバイされていた御三方にご挨拶した。
その時の会話は忘れてしまったけど、ライブハウスの雰囲気も相まって御三方ともアングラな色彩をまとってらっしゃるなとなんとなく感じたのを覚えている。

その30分か1時間後。もう虜になってた。
電撃、稲妻、感電。ビビビビビ。
よくわからないけれどそんな言葉ばかりが浮かぶ演奏。とにかくシビれたのには間違いない。

これはあれだ。ロックだ。

それまで魂を内に込めて演奏するのがタンゴだと思っていた。
魂を外に振り乱して演奏するタンゴにワクワクし、あふれ出る感情はどんどん昂っていった。

このライブを観て初めてタンゴの「音楽」を好きになった。好きにしてもらえた。好きになれた。

その約半年後の2015年1月。
第1回奈良タンゴ祭のステージにトリオ・ロス・ファンダンゴスと共に立った。

ファンダンゴスの1曲目が始まる。私たちの出番は2曲目の”Cafe Domiguez”だ。
マギは下手袖、私は上手の袖にスタンバイする。
私たちマーシー&マギにとって初めてのタンゴコンサート。しかも私マーシーの故郷である奈良での舞台。客席には両親や親族がたくさんいる。
変な汗が止まらない。緊張度MAX。

その時だった。上手で演奏していた谷本さんがただならぬ空気を察知したのか袖にいる私に向かって緊張をときほぐそうと笑顔で尻を振ってくれたのだ。

キュウウウウウウウウウン!
惚れてまうやろおおおおおおお!
私の中のチャンカワイが唸りをあげる!

かくして、谷本仰という男は私の憧れになった。
この時の話をしても本人は全く覚えていないと言うが私の脳裏には鮮明に焼き付いている。
オールバック。赤いシャツ。揺れる尻。
目をつぶればこの3つが即座に出てくる。

ファンダンゴスさんとのご縁はこの奈良タンゴ祭で途切れるかと思われたが2016年の夏、憧れの男からの電話で突如復活する。

つづく

タンゴの節句2023開催決定!

 

 

 

 

 

 

 

 

お待たせしました!トリオ・ロス・ファンダンゴスとダンサー・ケンジ&リリアナが2002年以来共に創り上げてきた「タンゴの節句」にダンサー・マーシー&マギも加わって繰り広げる最高に楽しいタンゴショウ!福岡と北九州だけの3公演+ミロンガ!いずれも席数に限りがあります。ご予約チケット入手はお早めに!詳しくはライブスケジュールページをご参照ください。→コチラ!

 

 

 

 

奈良正次郎〈Jimmy〉さん(2023/1/24)

”What friends say about the band”(「友人たちがこの楽団について言うことにゃ」)、ケンジ&リリアナに次いでの登場はJimmyこと奈良正次郎さん!われわれの大きな転機となった2011年のブエノスアイレスツアーで初めて出会って以来、ずっと我々を応援してくれている大好きなミロンゲーロ!どうぞお読みください!

奈良正次郎<Jimmy>:タンゴダンサー・インストラクター。関西を拠点にJimmy & Yukarin でJ tango 主催。ブログ:JIMMYの街角TANGO日記

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初めての出会いはケンジさんとリリアナさんとの会話の中でのことであった。ブエノスの中庭でワインとチーズで雑談をしていた。そうそう、今夜ジミーに紹介したい人がいるのよ、とケンジさんがトリオのことを語るのだが、俺は面倒くせえな、どうせやたらとプライドの高いイケすかないクソなんだろ、と思っていたのですがケンジさん、先輩の顔を立てて置くかくらいの気持ちで顔を合わせました。案外あっけらかんとした面々で、拍子抜けしました。そしてその数時間後にミロンガ、カテドラルでの彼らの生演奏を体験して、ぶっ飛びました。しょっぱなのガジョシエゴ、音の圧が凄い。トリオなのに、えっ、トリオだよね、こんなのあるの、すげぇじゃん。そんなのが最初の出会いでした。
何よりもいいのがピアソラとトロイロを神とした洗脳された人たちではなかったことです。トロイロは素晴らしい、繊細で複雑で実に芸術的なビッグフォーの一人なのですが、大概の生演奏をしてくれる人はミロンゲーロとの認識がズレているのですよ。これが残念で仕方なかった。
こんな連中がいるとは日本のタンゴも捨てたもんじゃない、ミロンガが盛り上がるってのを体感させてくれる、実に貴重な存在であります。最近ではミゲルカロ、ルシオデマレもレパートリーに入れ、益々オールラウンダーになってきて、フランシスコロムートもやるという、なんで神戸のライブでやらなかったんだこのやろ、と首を締めそうになりました。
彼らと出会った10数年前、彼らを関西の人に知らしめねばならない、と思いました。普段何の営業活動をしない俺が、彼らを知らせることは使命だと思いました。今ではすっかり有名な人気者なので、その使命は終わっています。
これからは彼らがどんなレパートリーで喜ばせてくれるのだろう、ビクトルやラウレンス他にも沢山の名曲にチャレンジしていってくれたらいいなあ。
俺自身もそうでありたい、そしてトリオもそうであって欲しい、ミロンガの灯、わくわくするようなタンゴを追求する姿勢、これなんだよな、カッコいいってことはカッコつけるのとは大違い。
キリがないので、ここらで終わります。最後に一言、トリオロスファンダンゴスが大好きです。