Ken Bandit がこの楽団について言うことにゃ
「水戸黄門に出てくる越後屋と悪代官の笑い方でっせ。 カッカッカッ!やなくて、 もっと悪い感じのやつ!! 合図したら全員でお願いしますよぉ! せ〜のっ!」
ある年の結構寒くなってきたくらいの頃やったと思う。サンフランシスコから引っ越してきたばっかしで暇そうなN子ちゃんとまだ行ったことなかった日本庭園に行った時のこと。
1枚の貼り紙を見つけた。
なんか日本から来たバンドがコンサートやってるんやって、見に行ってみる? 「タダ」みたいやし?
だいたい日本からくる演奏家でまともにタンゴ演奏するやつは見たことない。いつだかも1年くらい留学してたっていうバイオリン弾きがカニングでピアソラみたいな曲弾いてたけど、音が繊細でどう聴いてもクラシック。どっちにしろ踊られへんけど。
当時は基本的にミロンガにしか行かへんかったから「踊られへん曲はタンゴやない」と思てた。
まぁ、踊られへん曲をミロンガで演奏する時点でタンゴを理解してないんやけどな。
どうせミロンガちゃうし、踊られへんくても問題ないし、暇やし、ちょっと見て行こかぁ〜。 なんせ「タダ」やしな!
というわけで行ったコンサートで出てきた3人はピアノとバイオリンとアコーデオン。 まぁた勘違いした日本人かいな、バンドネオンとアコーデオン間違えたらアカンでぇ〜 と思ったが演奏が始まると、 なんやこれバンドネオンよりええんちゃうんっ!? しかも太いバイオリンとピアノの強烈なビート、3人なのに深みのある演奏、これやったら踊れるかも?
その上なぜか悪代官の笑い方を練習させられた。 来てたお客さんは普通のアルゼンチン人と日本庭園なので日系人の割合も多かったが、 通訳さん水戸黄門の説明とか大変やろな〜(^_^;) と思いながらも、始まったマラ フンタに完璧に悪代官笑いを合わせていた。
期待してなかった分、いいほうに裏切られて大満足の演奏会やった。 演奏後、バンドの人たちが日本から持って来たCD(3までしか出てなかった)を現地価格25ペソ(当時¥1,000くらい)で売ってたので買ってみんなで喋ったんを覚えてる。ちょっと前に沖縄県人会館で行われた すき焼き大会に日本旅館のメンバーで行った時のこと。 うち(日本旅館)のやつら、宿からタッパーいっぱい持ってきて喰うてる振りしながらバンバン生肉詰めとるねん!F香ちゃんなんかキッ○ーマンの新品の醤油、ペットボトルごと持って帰っとったからな〜(¯―¯٥) おかげでそれ以来 日本旅館メンバーが食事会に誘われることはなくなったわけやけど…
それから数年。 コルティーナもロンダもないミロンガに踊れない生演奏、まさか帰るとは思ってなかった日本でアルゼンチンとはまったく違うタンゴにミロンガ恐怖症になっていた頃、なんか聞いたことあるバンドの名前を見つけた。
「横浜か〜、ちょっと遠いけど懐かしいし、おもろかったから行ってみるか〜」 ナイトファイヤーやっけか、あやしいお店でタンダもロンダもないミロンガではあったけど、日本では珍しく踊れる演奏やった。 演奏後バンドメンバーに話しかけると、突然いわつさんが叫んだ。
「肉の人〜っ!!」
いや、たしかに醤油の人ではないんで肉の人かもしれへんけど… て、もう4,5年は経ってるのにすき焼き大会の話をよう覚えてんなっ!! いわつさんの驚異の記憶力を知った瞬間であった。
共闘編へつづく。