タンゴの節句2007#1

タンゴの節句2007#1

台風の目玉の予感

予感は、あった。タンゴの節句2007直前までケンジ&リリアナの2人はブエノスアイレスに4週間滞在していた。その間何度もメイルで「曲は決まった?プログラムは?」と矢の催促。これまでと何か雰囲気が違うゾ、いつも前日に一緒に決めてたやん、とこっちはおっとり刀。

すると「台風(エル・ウラカン)は必ずやるよね?」とこれまた念を押すようなメイルが4/17に届く。ピンときてすかさず「何か秘策でも?」と返事。するとまもなくまたメイルが。「何でや?わたしらがやるいうと谷もはんもいわつも秘策だとか仕掛けだとかいわはるんですか?真摯に取り組みたいだけです」の返事。ケンジさんからのメイルはトリオの三人に必ず同時に送られている。いわつなおこも本能的にナニかをかぎつけ、「ナニカ仕掛けでも?」と返信していたらしい。わはーユニゾンの妙、ファンダンゴス。そしてそのメイルへの返事の様子から見るとどうやら予感は当っている気配濃厚。

二日後またケンジさんからメイル。「台風ただ今完成 これはファンダンゴスとリリケン(リリアナ&ケンジ)でしか表現できない自信作 我らの一体感が作り上げる異次元ワールド 早くやりたい」

やっぱり!今回のタンゴの節句の目玉は、「台風」だ!昨年6月のブエノスアイレス公演時もオオウケしたこの曲。一体どういうことになるのか!タンゴの節句2007まで、後9日。(続く)

 

ケンジ&リリアナ台風襲来(2007/6/9)

4/27。ケンジ&リリアナ九州入り。いよいよ翌日から始まるタンゴの節句ツアー2007を前に、ファンダンゴスの3人とケンジ&リリアナでリハーサル&打ち合わせ。そういえば昨年6月ブエノスアイレスで別れて以来の再会。そしてそういえば前回はここにプルポ&ルイサもいたんだなあ。感触を確かめるようにリハーサル。

ケンジ「ケハス・デ・バンドネオンはテンポ上げることできる?」
トリオ「できますよ」
ケンジ「同じ感じのが続いてもアレだからね」
いわつ「ひょっとしてテンポだけで変化つけようとしてません?」
ケンジ「…い、いや、そんなことは…」
わははは

長年のライブでいつのまにか定まってきていたテンポを変えて、ドライブ感をあげる。いつもならぐぐっとブレーキをかけてテンポを落とす部分も、かっ飛ばすように変更。新鮮な「ケハス」。こういうのをぱぱっと自在に変更できるのもワレワレの強み。

そしてついにベールを脱いだ「台風」。死ぬかと思った。笑い死に。マーラフンタの爆笑振り付けもそういえばブエノスアイレスで完成したんだった。これも負けず劣らず爆笑巨編。小道具も使って。ああこれは翌日からのツアーの目玉だ、やっぱり!

ツアー用に準備した新曲も聴いてもらう。「悪魔のロマンス」「心の底から」「ラ・トランペーラ」。そしてこれまでやった曲の中から踊る曲を決めてもらう。これはこれまでの手順通り、と思ったら…。

ケンジ「あんたらダンサー泣かせやで。普通前日に踊る曲決めたりせえへんで。」
リリアナ「そうだよ、あたしたちくらいだよ、こんなことやるの」
トリオ「だって今までずっと前日に一緒に決めてきたやん」
ケンジ「これからはもっとタンゴに対する真摯な取り組みが必要でっせ」
トリオ「へえええいわっかりましたああああ。で、何します?あれも、これも、あ、それもやりましょうよ踊ってくださいよ、えっとこれで…11曲か、まだいけますよね」
ケンジ「ひええええ」

すんまっしぇえええん、やっぱりきっと世界一ダンサー使いの荒いバンドだ。まことに申し訳ないでもとにかく一緒にやりたいのだこれでいいのだ楽しいのだ。

リハが楽しいっていうのは、大事なことだと思う。もちろん本番が最高なのは当たり前だけれど、リハでアイデア出し合ったり、修正・変更したり、新しくしたり、つまりどんどん変えるということを共同作業でやる。これが楽しいかどうか。ワレワレの場合、これはとっても肝腎なことなのだ。誰かが譜面を書いてくる。その人の指示通りに他の人が演奏し、踊る。そんなのは、トリオ・ロス・ファンダンゴス+ケンジ&リリアナとは無縁のこと。そして一緒にどんどん新しくなっていくタンゴを一緒に楽しむ。これですよ、これ。

リハーサル終了。もう気持はすでに恒例となったリハ打ち上げ会場「明月」へ。やったー。来た来た、タンゴの節句。こうでなくちゃ。

さあていよいよ始まるツアー。明日は長崎・諫早へ。

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