タンゴの節句2008#7
福岡・西南学院コミュニティセンター(5/5)
さていよいよ5/5、文字通りのタンゴの節句のその日。今回の福岡公演は西南学院コミュニティーセンター。昨年夏にオープンしたばかりの赤煉瓦を使ったホール。
楽屋でケンジさんは非常に年の離れたパートナーと、踊る。歩き始めたばかりの幼児を、それらしく躍らせてしまうなんて、すごいぜおやっさん。
福岡公演名物・いわつなおこ母タカコさんの手料理も届く。ちらし寿司、とりの照り焼き、いわしのぬか炊き、切干大根、漬物、…。うまいうまいむしゃむしゃ。
これで元気をつけて、さぁ本番。例年福岡のタンゴの節句の客席の雰囲気は、クール。みんなしっかり観て、しっかり聴く。熱くなるというよりも、じっくり楽しむ。それが福岡だった。でも、今回は違った。熱い。初めから熱い。ライブ開始直後から、声援が飛んでくる。そして一緒にうねりながら、盛り上がり、やっぱり最後に大波が押し寄せた。 なんだこれは一体。
しかもここ数年下関に飛び入ってくれてるリマちゃんが初めて福岡に乱入。彼は10年前にワタクシ谷本が渋さ知らズのテント旅で出会って仲良くなって、不思議にもタンゴで出会い直した仲間。彼のサックスは昨年秋のブエノスアイレスでも本場のタンゴファンを魅了した。最高。こんなに熱く切なく、濁音のブロウで歌いまくるタンゴサックス、いるか?まるでゴジェネチェ。昨夜は彼の「カミニート」がノーマイクで観客を圧倒した。ものすごい反響。誇らしくて胸を張るワレワレ。そうだろう、そうだろう。
タンゴの節句に何年も続けて来てくださってるお客さんが福岡でもどんどん増えてきた。タンゴの節句以外のライブにも何度も足を運んでくださっているお客さんも。みんな楽しむために来ている。ファンダンゴスと一緒に、揺さぶられ、揺り動かされて、元気になるために、来ている。それがはっきり感じられる。
そしてこの夜のトリオ・ロス・ファンダンゴスの演奏にも、これまでになかった何かが感じられた。単純な躍動感とかエネルギーとか、そういう言葉では表現できない「いのち」のようなもの。何かが起きている。われわれ自身に、今、地殻変動のようなものが。何か変だ。何かが動いてる。よくわからないけれど、感じる。ナマズか?ファンダンゴス。
ケンジ&リリアナもすごかった。凄み。汗をほとばしらせながら、クール。熱いのに、静か。冷めてるんじゃなくて、醒めている。全身で見て、聴いて、感じて、考えて、研ぎ澄まされて、踊っている。
プログラムからも余計なものがそぎ落とされて、これまでで最高の流れ。ついにここまで来た。さあ、ここからどうなるタンゴの節句2008!…と思ったら、翌日でなんと最終日。ええッ!もうオシマイ?こんなに早く感じたことって無かった。明日、一体何が起きるんだろう。何に出会い、何がこの身体に刻み込まれるんだろう。
終演後はやっぱり「海鮮」へ。突然停電になる店内。点いたと思ったらまた停電。こんなのも珍しい。リマちゃんにゴマ鯖と海鮮丼をとりあえず食ってもらう。うまいうまいを連発するリマちゃんに対して、なぜか誇らしく胸を張ってそうだろうそうだろう。
そういえば2002年のタンゴの節句の総ウチアゲもここだった。酔いつぶれたヒトの顔にみんなでマジックでいたずら書き。めちゃくちゃやったなあ。あれから7年。オトナになったねえ。相変わらず騒いで店の人に注意されたりしてるノもいるけど。すんまっしぇーん。
さあ、いよいよ千秋楽。いくど、やるど。