Archive: 12月 2023

日本タンゴ大賞2023受賞スピーチ

2023年12月10日、日本アルゼンチンタンゴ連盟主催La Milonga(東京お茶の水ワテラスで開催)で日本タンゴ大賞発表に際し代読していただいた音楽部門受賞スピーチです。本当ありがとうございました!

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この度は思いもかけず、日本アルゼンチンタンゴ連盟・2023年度 FJTAタンゴ大賞・音楽部門賞にトリオ・ロス・ファンダンゴスを選出していただき、身に余る光栄です。

1999年にいわつなおこ、秋元多恵子、谷本仰の三人で活動を始めて以来、タンゴに身も心も鷲掴みにされ、ただただ楽しく演奏し続けているうちに気づけば早や24年。コロナ禍の期間を経て8枚目の新作CDを出せた直後のこの受賞は、幸せすぎてコワイほどです。

ケンジ&リリアナと共にこの大賞を受け取りたいと思います。パンクバンドのようにただ突っ走っていたわたしたちを、お二人は、ダンスと共にあるタンゴへと導いてくれました。2002年からは一緒に毎春「タンゴの節句」を創り上げてきました。さらに二人は2011年二度目のブエノスアイレスでわたしたちをミロンガとの決定的な出会いに導き、これを機にトリオ・ロス・ファンダンゴスはミロンガを愛する楽団へと踏み出しました。

ありがとう、チノ&ミホ。お二人は5回にわたるブエノスアイレス公演、またウィーン、ルクセンブルグでの公演を支え、さらにミロンガでの演奏のイロハを教えてくれました。

今は亡き齋藤徹さんは最初から「ファンダンゴスのコントラバスは自分が弾く」と言い、病を得た後も共演し続けてくれました。自らお揃いの赤シャツまで着て。巨大な蒸気機関車と化してわたしたちを煽り立てるそのコントラバスに「君たちはそれでいいんだ、もっと行け!」と励まされ、わたしたちは前進できたのでした。

共演してくれた全ての音楽家たち、ダンサーたちに感謝。分かち合ったタンゴの一瞬一瞬が、わたしたちの宝物です。

沢山の方々に愛され、ここまで歩む事ができました。天国に召された後もわたしたちの支えになり続けてくださっている方もおられます。

そして大きなアブラッソと感謝を、愛するミロンガに。福岡ティエンポをはじめ、広島、神戸、大阪、名古屋、横浜、東京、埼玉などでわたしたちを迎えてくれた全国の、そしてブエノスアイレスをはじめ世界のミロンガに。とりわけそこで踊ってくださったミロンゲーロ、ミロンゲーラのお一人お一人に。ミロンガで分かち合ったタンゴの喜びがわたしたちを創り上げてきました。この賞はみんなのものです。

最後に特別な感謝を、わたしたちのスタッフに、特にエンジニアとして助け続けてくれた江島正剛さんに、そして家族のひとりひとりに。

これを励みに更に歩みたいと思います。皆さんと共に、タンゴにいのち抱かれて。これからもトリオ・ロス・ファンダンゴスをよろしくお願いいたします。

Viva el tango! Viva la milonga!

ありがとうございました!

日本タンゴ大賞2023受賞いたしました!!!

FJTA日本アルゼンチンタンゴ連盟・日本タンゴ大賞2023の受賞者が12/10の午後3時より、東京お茶の水ワテラスで開催されたLa Milongaにおいて発表され、音楽部門でトリオ・ロス・ファンダンゴスが選出されました。ノミネートされたことも後で知ったのですが、まさか大賞をいただくなど思いもよりませんでした。皆さんに選んでいただき、ほんとうに光栄です。ありがとうございました!

棚田典子さん(ダンサー、棚田晃吉・典子タナディーズ)

棚田晃吉さんに続き、棚田典子さんがトリオ・ロス・ファンダンゴスについて言うことにゃ。いつもミロンガLa Bardosaでほんとうに心温かくわれわれを迎えてくださる典子さん。そしてショーに臨む時には全身からまるで青い炎が立ち昇るような気迫が溢れる典子さん。ありがとうございます!

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この夏、谷本さんから宿題をもらった。
トリオロスフアンダンゴス(以下TLFとします)さんについてコメントを書くことだ。
果たして自分がそれに値するのかとても悩んでしまった。
パワーのある人を語り賛辞するにはもっとパワーが要るからだ。
病気がちでネガティブ、何かと体力気力に余裕の無い私には、TLFさんと彼らを取り巻く皆さんは限りなく眩しい存在だ。
そのパワーに満ちたミロンガは,時として私のキャパを超え,心の窓を少しだけ閉めて嵐をやり過ごす事さえある。
彼ら自身は本当に抑えの効きいた柔らかい方々で、そんな私を見守り乍ら,でも気がつけばいつも近くに寄り添ってくださっている。有り難くて涙が出る。
安定して人を楽しく元気にするのは大変なことだ。
どれだけのバックグランドと努力があったことか、、それも3人ともだから,脱帽しかない。
タンゴは眉間にシワを寄せ悲しい顔でなりきって踊るのよ
そんな前時代から35年近く踊り続けている私たちは随分自分を抑えて来たかもしれない。
ある時は怪しいラテンネームをつけられて、「わたし日本語わからない」と日系2世の振りしなさい、と強いられたっけ。
またある時は,楽団の前で踊っていて,(うるさ方が会場の最前列にいらっしゃるのだが)「ダンサーが邪魔で演奏家が見えない」とよくキツくお叱りを受けた。
若いなりに一緒懸命作ったショーで参戦するも袖看板には,"情熱のフラメンコショー”。結局名刺交換に皆さん夢中でBGMでさえなかった赤プリでの仕事
某レコード会社から”踊りのためのタンゴ曲集”のCDチェックを依頼されたときは,どの曲もミロンガ(踊り場)ではかからないものばかりで困ったっけ。
生演奏でのミロンガが始まった時代も,楽団の方の曲はミロンガには少し難しかった。
「皆さんオブリビオンとかでしっぽり踊りたいんでしょう。さあ,どうぞ」なんて言われると,悲しい気持ちになった。
初めの頃はアジア選手権のステージ部門では二曲踊り,私たちも、良く求められる深刻な曲とそれとは別に温かみのある明るめの曲の二曲を選んで踊った。
タンゴは歯を見せちゃダメなのよ、笑って踊ってはダメなの。だから前者の曲だけにしなさい
有難い偉い先人のアドバイスに反して,私たち明るい曲の方を選んだものだ。
悲しい曲を安易で不勉強なものが物知り顔で踊るより、悲しみを持ったものが努力して人々の心が温かくなる踊りができたなら、きっとタンゴはそちらを喜ぶはずだ。そう信じてきた。
2023年になっても人々は戦争を繰り返し、平和な地域でさえ、この世は生きることも老いることも、死ぬことさえなかなかに難しい。
せめて”タンゴ”を持った我々は,この体の温かさと人々と繋がり思いやる能力で支え合おう。自分の淋しさを乗り越え,早く誰かの淋しさに気づけるように。
タンゴは生き難き今生の糧とならん
明るくポジティブに我々を支え寄り添ってくれるTLFさんに、何故かあのタイタニック号で,沈みながら讃美歌を奏でる音楽隊のシーンが私の中で蘇るのだ。
人生は雨ばかりではないけれど、傘のない人もいる
TLFにみんなが惹かれるのは、彼らも皆さんも同じ思いを持ち同じ痛みを知っているから。
あゝ,もう3人に会いたくなってしまった。
TLFさーん、カムバーック✨

タナディーズ2号
棚田典子